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HPLC移動相を調製する際にpH調整が必要な場合があります。ほとんどの場合,pHメーターを用いて,所定のpHになるまで酸や塩基を添加して調製しているのではないでしょうか?
「緩衝液」を調製するのにpHメーターに頼ることは基本的に間違いです。緩衝作用があるため,添加量を変えてもpHは変化しにくいからです(だから「緩衝作用」という)。HPLCにとってさらに重要なことは「イオン強度(Ionic
Strength)」です。イオン交換カラムや,イオン的相互作用が関係する分離系では,イオン強度が不足するとピーク形状や保持・分離の再現性に影響が出ます。
「pHが合ってさえいれば良い」とするpHメーター依存の移動相調製方法は誤りです。
生化学で緩衝液を調製する場合は上図のように,同濃度の(ここでは50mM)酸と塩基の水溶液を「体積比/容積比」で混合することが正しい方法です。これでイオン強度もpHも再現性を得ることができます。最初の1回目に混合比とpHモニターしておけば,2回目からはpHメーターを不要とした迅速な調製が可能となります。
LC-MSで必須な「酢酸アンモニウム」や「ギ酸アンモニウム」とその緩衝液は揮発性に優れているので,100mMのように高濃度に見えてもイオン化の際にほとんど揮発します。イオン強度もリン酸の1/3です。カラムにとっても優しい有機塩であるため,移動相のpH調整剤(緩衝液)としては酢酸系やギ酸系の移動相が強く望まれます。
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