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HPLC便利ツール
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あれから15年が過ぎました。 最近Googleさんのおかげもあって,本コラムをご覧になる方が急増しています。拙稿にご興味をお持ちいただいているにもかかわらず何も更新しないわけにはいきませんので,15年ぶりに再開しようと考えました。 おかげさまで2019年に弊社は創業20周年を迎えることができました。 海外市場も米国支社をはじめとして,約60ヶ国に輸出できるまでに成長しました。 そして世界最大の海外運送会社さんから「京都で一番輸出頻度の高い会社」と驚かれるくらいに輸出が増えています。
後発ながらこのビジネスに参入したのは,それまでのHPLCユーザーやHPLCメーカーにおける経験をもとに,インターネットと物流の画期的な進歩を活用できれば,「Made
in Japanのものづくり」が職人の多い京都において可能である,と考えたからです。 現在COVID-19による未曾有の状況にありながら,当社ビジネスは堅調に推移しています。 これもひとえにお客様の弊社および弊社製品に対するご支援の賜物であり,心より厚くお礼申しあげます。
2020年初頭に始まった外出制限のこの状況下,自分に何ができるかと考えたとき,「昔取った杵柄」であるプログラミング技術をHPLC分野で活かしてみようと思い立ちました。 HPLCユーザーが便利なツールを開発してみようと考え,まずは簡単な「カラム圧力変換ツール」を作ってみました。
拙稿No5
(2001年)で書きましたが,海外HPLC装置メーカーの自我は20年経過した今でも続いているようで,圧力の国際単位が「Pa」に決定されたにもかかわらず,「psi」とか「bar」がいまだに闊歩しています。
そして次に作ったのが「試料濃度計算ツール」です。
HPLCによる物質定量のためには標準物質を用いた試料調製が不可欠で,試料濃度計算には物質量と溶媒(溶液)量が必要となります。本プログラムは,求めたいフィールドを空欄とし,その他の必要なフィールドに値を入れれば空欄の値が算出できるという使い勝手の良い設計にしました。 余談になりますがプログラミングでの難しい点は,ブラウザが画面更新時には入力情報を保持してはくれず,計算結果を表示させるとそれまでの入力値が消えてしまうことです。 入力値を保持しながら計算結果も表示させる工夫に若干手間取りました。 また特定のフィールドだけをクリアする処理もかなりの難問でした。
分離科学は世界共通ですから,本ツールを世界的にも普及させたいと思い,英語版プログラム も掲載しました。 各国で少しづつ普及し始めています。 以上本ツールが世界のHPLCユーザーにとって便利なものであることを願っております。 |
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矢澤 到 / YAZAWA Itaru ( インタクト / IMTAKT ) |