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ODS充てん剤の構造をご存じですか
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ODS固定相構造図 | |||||
HPLCでもっとも一般的なカラムはODSカラムです。 物質分離を決定づけるODS固定相はどのような構造をしているのでしょうか。
ODS固定相の構造はメーカーによって多少の差異があるために,A社カラムで分離できたものがB社でできなくなるということがあります。また同じメーカーが複数のODSブランドを発売していることもODS固定相の多様性を示すものです。
代表的ODS固定相の構造を簡単に表現するなら,(1)シリカ基材の表面に,(2)オクタデシル基を化学結合させ,(3)残存するシラノールをエンドキャッピング処理したもの,ということになります。 (1) シリカ基材
クロマト材料のシリカは乾燥剤に使われるシリカゲルと同類です。異なるところは,精密分離のために数ミクロンという微小で均一な粒子が必要であり,さらに適度な細孔を有する純度の高い材料であるということです。
(2) オクタデシル基
ODS固定相を決定づける重要な官能基です。直鎖状のアルキル基でC18H37の組成からできています。ちょうどステアリン酸のアルキル鎖と同じ長さであり,植物油などの「脂質」としての性質をもっています。分離対象物質が油に溶けやすいほど「油」としてのODS固定相に親和性が高く,結果としてODSカラムに強く保持をします。 (3) エンドキャッピング ODSの歴史の初期には行われなかった処理です。酸としてのシラノールが塩基性化合物などのピーク形状や保持挙動に影響を与えることがわかってから,その影響を取り除く処理としてODS充てん剤合成工程に組み込まれたものです。現在の汎用ODSカラムのほとんどはこのエンドキャッピング処理が施されています。 このエンドキャッピングの処理方法はカラムメーカーによってさまざまであり,その結果としてのピーク形状や溶出特性に影響を与える大きな要因となります。 ODS固定相を構成するいくつかの要素の組み合わせにより,いろいろな特徴をもったODSカラムができあがっています。各社のODSカラムの特長をうまく使い分けることによって,より良い分離が可能となるはずです。 ( 矢澤 到 / インタクト株式会社, YAZAWA Itaru / Imtakt Corp. ) |