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充てん剤粒子は小さいほど良いのでしょうか? <その1>
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2007,8年だったと思います。米国の掲示板サイトで「3μmカラムなんて "too slow!" だ」とsub-2μmの発信者から全否定されたことがあります。
「”分離科学(Separation Science)”の中心は”カラム”であって”装置”ではない」
との信念の元にカラムビジネスをはじめた私には,「sub-2μmありき」の風潮には納得できないものがあります。「UHPLCを導入したので,高耐圧カラムでないと使えない」とか,「圧力の高いカラムほど分離が良い」という声を聞くたびに悲しくなります。
[1] 充てん技術
理論と実際は異なるものです。カラムを日々製造している人にしかわからないことがあります。それは「充てん技術」です。
「粒子径が小さいほどカラム効率は高い」という理論は正しくても,実際に充てん技術が伴っていなければ「絵に描いた餅」になるだけです。事実sub-2μmカラムの最高性能は150mm長で3万段程度という情報がありますが,弊社の3μm粒子カラムでもそれに近い理論段数を低圧で出すことができます。 [参考比較データ] https://www.imtakt.com/TecInfo/TI707E.pdf
[2] 装置・カラムの高耐圧化問題
sub-2μmカラムにしても高耐圧装置にしても製造コストの上昇は避けられません。
[3] 分離性能 「高圧カラムは分離が良い」というのもサイエンスではありません。この誤解は以下の三段論法的な考え方に起因していると思われます。 理論段数が高いほど分離が良い -> 微粒子ほど理論段数が高く圧力も高い => だから高圧カラムほど分離が良い 圧力と分離に関する計算式のファクターは異なります。すなわち圧力の計算式に分離のファクターは入っていませんし,分離の計算式に圧力のファクターは入っていません。計算上はお互いに無関係です。 「sub-2μmカラムの理論段数が高いのはあたりまえ」かもしれませんが,「理論段数が高いから分離が良い」とは限りません。たとえば分離度がゼロ(不分離ピーク)の場合,充てん剤粒子径をどんなに小さくしても分離度はゼロのままであり絶対に分離はできません。
UHPLCブームは「高圧=高分離」という非科学的な関連性から生まれた悲しいビジネス産物と思います。 |
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充てん剤粒子は小さいほど良いのでしょうか <その2 > | |||||
矢澤 到 / YAZAWA Itaru ( インタクト / IMTAKT ) |