分析条件設定の説明
[吸着]
Scherzo C18
カラム固定相表面には,アニオンリガンドとカチオンリガンドが共存しています。そして中性pHにおいては両イオンが解離状態にあります。
グラジエント初期条件として,10mM
酢酸アンモニウムのような「中性pH」で「低イオン強度」の移動相を用いることにより,カチオン性化合物もアニオン性化合物もどちらも「イオン的」に吸着することができます。
もちろんODSカラムですから「疎水的」に吸着することもできます。
[溶出]
溶質が固定相間に「イオン的」に吸着しているので,移動相中の「イオン強度(ここでは塩濃度)」を上昇させることにより,溶質-固定相間のイオン的相互作用を移動相中のイオンが邪魔するために,溶質は固定相から離れていきます(イオン交換カラムの原理)。
さらに有機溶媒濃度を上げることにより,「疎水的相互作用」も打ち消されて溶出することになります。
固定相とのイオン的相互作用や疎水的相互作用の強さは分析対象化合物によって異なります。したがって精密分離のためには,B液の「塩濃度」や「有機溶媒濃度」を最適化する必要があります。
[グラジエント]
イオン的相互作用は疎水的相互作用よりもはるかに強いため,ピーク形状と再現性のために,本カラムを用いてアイソクラティック分析することは一般的には推奨されません。できるだけイオン強度の変化を持たせるようなグラジエント溶出が推奨されます。
また溶出・分離挙動によっては,グラジエント初期・終濃度,および勾配の最適化が望まれます。
[検出]
本条件では酢酸アンモニウムを用いるため,220nmなどのUV短波長検出は困難です。この場合,中性リン酸緩衝液によるイオン強度グラジエントが必要となります。
たとえば 5mM -> 30mM リン酸緩衝液 (pH 7) + アセトニトリル グラジエントです。
[試料溶媒]
イオン性物質の場合,試料溶媒は必ずpH調整により試料溶液中の解離状態を制御しておく必要があります。 一般的にはA液に溶解しますが,化合物の性質により,酸や有機溶媒が必要とされます。
溶出ピークの形状や保持時間は溶解溶媒が影響することがあります。その場合には試料溶媒の検討が必須となります。
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